マスクの設計・製造の立場からみた、二重マスクの効果。

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マスクの装着ポイント

 二重マスクについて、良い、良くない、とあれこれいわれています。後者に決まっています。理由は、簡単。本来のマスクは、1枚でもウィルスを含んだ空気をあまり体内に入れないように作られているからです。1枚でもそれなりの吸気抵抗(息のしやすさを表す指標で、数値が小さいほど呼吸が楽)があり、それを二枚重ねにしたら息苦しくて10分もしておられず、使えない。
 病院の手術室等でマスク(医療用)が2枚重ねで使われることはなく1枚であることはテレビや映画等で見られる通りです。

「マスクを1枚では頼りないから二重にして使っている」
 二重マスクで着けていられないほど呼吸が苦しくなければ、安物マスクであることの証明です。
 つまり、マスクが顔に密着しておらず、鼻梁部や両頬から、外の空気の侵入を簡単に許してしまう“造り”になっているのです。それで呼吸が楽ということであり、空気中を漂うエアロゾル(ウィルス)のブロック能力がない危険な代物なのです。

 この時期、こんなマスクを着用していては、安物買いのゼニ失いというよりか、健康(命)失いになります。
 医療現場等の感染リスクが高い場面で使用される不織布の高性能マスク「サージカルマスク」でも、装着が不適切だと、やすやすとウィルスの体内侵入を許してしまいます。マスクを顔にどれだけフィットさせるか、顔との間に隙間が生じないよう装着することが重要なのです。

マスクのエア漏れが起こる箇所は?

 エア漏れが起こる箇所は二つあり、一つは鼻梁周り(1)、もう一つは両頬周り(2)です。
(1)対策に最も効果的な造りは、鼻梁部に触れるマスク上辺にワイヤ(しっかりしたワイヤ)を使うことです。ちなみに、安価な樹脂等はマスクのその部分を鼻梁部に押し付けても樹脂の弾性により、元の真っすぐな形状に戻って、マスクのその部分が鼻梁部に沿う形となって隙間をつくってしまいます。ワイヤの場合でも安価だからといって細くてグリップ力に欠けるものでは樹脂の場合と効果はあまり変わりません。

空気感染防止を目的とする一般マスクの基本とは。

 空気感染防止を目的とする一般マスクとしては、微粒子濾過効率(PFE)が98%超のフィルターを用いていて、(1)鼻梁周りをしっかりグリップできるしっかりしたワイヤ入りのノーズクリップ使っているのと、(2)きつ目の耳ゴム(平ゴム)を備えているものが基本中の基本です。
 他に重要な基本は、長時間継続使用ができる要件となる次の二つの要素があります。
(A)呼吸が苦しくなりにくい
(B)着用中に顔がかゆくなったり、酷い場合はただれ等が起きにくい(皮膚刺激性が少ない)
(A)は、前述の通り、現在 市場で氾濫しているマスクの多くは微粒子濾過効率(PFE)が99%(超)をうたっていますが大概、長時間使用は困難です。ろ過率を上げるのはなにも難しくなく、厚いフィルターを使えばいいだけの話です。しかしこの場合、呼吸が苦しくなります。テレビ等を見たりすると政治家等がスピーチする中でマスクを鼻から下方にずらしたりする場面が結構ありますが、これには主に三つの理由があります。一つは、話の途中で呼吸が苦しくなる、二つめはノーズワイヤが弱いため口を動かすと自然に下方にずれ下がる。三つめは、マスクが毛羽立ってかゆくなるので長い時間装着できない。
 いずれにせよ、マスクが顔面をしっかり覆っていない間、その場の空気中にウィルスが浮遊していれば、その人は空気感染面で無防備状態になるわけで、これは、装着者のせいではなくマスク自体の問題です。

空気感染防止に役立つマスクの選び方。

空気感染防止に役立つマスクの選び方

 日本で多くのマスクが呼吸のしやすさ(⊿(デルタ)p)で示されます)を明示していないのには二つの理由があります。一つに、メーカーが(⊿P)の存在そのものの存在を知らない、二つに、それを知っていてテストに出したところデータが悪いため(長時間着用に耐えない数値)公表できないのです。

 まとめとして、二重マスクをしなくても良い、長時間使用の環境で少しでも空気感染防止に役立つマスクの選び方のポイントは次の5点です。
  
①微粒子濾過効率(PFE)が98%(超)。99%(超)はなお可。
②呼吸が苦しくなりにくい(⊿p(デルタピー)値が6以下)。
③敏感肌対応の皮膚刺激性テスト証明があるもの
④ノーズクリップが鼻梁部をしっかりグリップできるもの(しっかりしたワイヤ入り)
⑤耳ゴムがマスクを顔面にきつ目にしめつける平ゴム製のもの

 あと大事なのは、エア漏れを極力起こさないよう、装着中にあまり顔を動かしたり、大き目の声でしゃべらないなどの配慮が大事です。

マスク・メジャーリーガーのgifアニメによるCM